時空を旅するのは俺の一生のテーマ マチケン小説家デビュー!
マチケンこと町田謙介が、小説家デビューを果たした。
タイトルは『ジャンク ジャングル キッズ』(著:町田謙介 画:町田謙介 発行:ポット出版プラス1,300円+税2016年8月10日発売)
舞台は1970年代。
広い空が広がる北国の短い夏。
夏休みに探検にでかけた3人の少年は、
ススキの原の向こうに、自動車がスクラップ状に折り重なった
鉄くずの山を見つける。
そして秘密基地を作ろうと企てるのだが・・・。
北海道出身であるマチケンの少年時代を思わせる冒険小説だ。
“ヒミツキチ”というキーワードはどうしてこうも人をワクワクさせるのだろう。そしていとも簡単に、あの頃に連れ去ってくれるのだろうか。 期待を胸に、現実と未来を自在に行き来するのは、10代ならではの特権だ。秘密基地を手にした少年たちは、幼さゆえに愚かであり、また幼いがゆえに恐れず柔軟でもある。
随所に展開される細密画のようなイラストも
マチケン自身によるもの。 映画を観ているようなストーリーの助っ人として さらに鮮やかに浮かび上がらせてくれる。 この処女小説についてマチケンに聞いてみた。
◆ブルースも俺にとってはファンタジー
――小説を書こうと思ったきっかけは? 「実は10年前くらいに、ほとんど書き上がっていたんです。それが縁あって今回出版にこぎつけたという流れがあって。 “SFおたく”だったんですよ。中学生の頃から作家 荒巻善雄のサークルに入っていたり。レイ・ブラッドベリなんかが好きでした」 ――音楽の上でもSFの影響は大きい? 「PUNKムーヴメントには、すごくショックを受けたんだけど、CRASHってバンドあるでしょう。<クラッシュ>って、イギリスのSF作家J.G.バラードの小説のタイトルなんだよね。小説もサイバーパンクとかニューウェイブそのもので、それでPUNKとSFがつながった」 ――扉には、ボー・ディドリーの<フー・ドゥ・ユー・ラヴ>の一節が引用されていますね。ガラガラヘビの皮でできた家、コブラのネクタイ・・・摩訶不思議なモチーフはSFチックでもあります。 「小説はいわゆる“ロストシティ”が舞台なんだけど、日常にある異質の空間は、俺にとってのブルースでもありますね」
――まったく違うもののように見えて、音楽も小説もイラストも、なるほどマチケン・ワールドそのものなんですよね。
「時空を旅することは俺にとって一生のテーマ。 アルバム『Future Blues』もそうだったし、中央線のひと駅ごとにライヴをやった『中央線VOYAGE feat.Chihana』にもそうだと言えるでしょうね。」
――その思いが貫いているから、歌も小説も変わらないんですね。 「そうだね、表現という意味では一緒。ブルースも、リスペクトしつつも捕らわれず、ひとつのカタチにして表現する人が増えてきてるんじゃないかな。そういう意味ではみんな自由になって、いろいろおもしろくなっていると思います。」 ――自由な表現を胸に、これからもマチケンさんの旅は続く。 「たとえばブルースもファンタジーだと思うんだよね、日常を取っ払ってくれるという意味で。だけどそれは同時に、日常はいいなと思わせてくれるものでもある。 ボ・ガンボスに<あこがれの地へ>っていう曲があるんだけど、あの歌では、あこがれの地と日常がつながっていると感じるんだよね。向こう側もこっち側も見えている。どちらが欠けてもダメなんだと思う。 ユートピアが何なのかはわからないけど、逃避したいなあ、できることなら何もかも捨ててどこかへ行っちゃいたいなあという気持ちは持っていますよ(笑)」
------------------------------------------------------------------------------------------町田謙介出版記念ライブ ◆2016年8月18日(木) 荻窪ルースターノースサイド OPEN 19:00/START 20:00 CHARGE:2,000円+オーダー(本を購入の方はチャージ300円引き) ゲスト:JOJO沢渡(vo,g) PONY BOY野中(vo,g)