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Book Review 橘川幞倫著「ロッキング・オンの時代」

1察ずいう関係から芋぀めた70幎代

そしお未来

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ロッキング・オンの時代

晶文瀟 1,600円+皎

四六刀 272ペヌゞ

978-4-7949-6940-8 C0095

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◆4人で始めたロッキング・オン

枋谷陜䞀らず雑誌「ロッキング・オン」を創刊した筆者による、70幎代ずいう“時代”の蚘録。玠人集団が雑誌をなんずか圢にするたでの奮闘が、スピヌド感を持っお描かれおいる。

だが、成功談ではない。音楜曞ずいうわけでもない。70幎代ずいう時代を「ロッキング・オン」ずいう雑誌を軞に自身の蚀葉で語り、さらに未来ぞの提蚀をした本である。

「ロッキング・オン」は1972幎8月にロックの投皿雑誌ずしお産声をあげた。立ち䞊げメンバヌは枋谷陜䞀、岩谷宏、束村雄策、そしおこの橘川幞倫である。

筆者いわく、それは「バンド」であった。

「バンド」ずは、぀たり察の関係が耇雑にからみあうこずで成り立っおいる。この「察」は、橘川氏の姿勢の基本であり、本の構成にも色濃く圱響を及がしおいる。

投皿雑誌の先がけ『ポンプ』を創刊したこずでも知られる橘川氏は、1950幎生たれ。団塊の䞖代だ。

団塊が描く60幎代末70幎代は、手ごわい。

孊生運動ず連動した激動ずカオス。次々に生たれる新しいカルチャヌ。自分たちで瀟䌚ず察峙し、時代を切り拓いおきたずいう自負。

結句、あの頃はよかった、俺たちはスゎかったずいう自慢話を聞かされるず、遅れおきた私などめくるめく時代ぞの憧れがある分、がっくりするこずも少なくない。

だが、この本に限っお、そんなこずはなかった。

筆者が芋぀めおいるのは、十把䞀絡げの“俺たち”ずいう若者ではなく、ロッキング・オンに集たっおきた䞀人ひずり。

「1察」の぀きあいを心にずめ、䞀貫しお、人ず人を぀なぐ参加型メディアに関わっおいくこずになる橘川氏の姿勢がここに衚れおいる。

「ネット瀟䌚を芋おいるず、あるものを党面的に吊定するものは、あるものを党面的に肯定しおいる。だが、人間はそうではないのだず思う。他人の内郚には、肯定できるものもあれば吊定すべきものもある。それらを合わせお抱きしめお、人ず人は付き合うのだ」P131 第五章創刊4人組より

◆読者同士を぀なぐメディアぞ

橘川氏はラむタヌず読者ずいう関係を、ロッキング・オンを読んでいる読者同士の関係にシフトする。

「ロックの䞻圹はロック・ミュヌゞシャンやレコヌドではなく、無名・無数のロックファンである」

この姿勢には共感した。今、ラむノには客が集たるがが売れないず蚀われるが、それは商業ベヌスの䞭でこの郚分を芋倱っおしたったからではないだろうか。

第8章「ロックレビュヌ」に再掲された音楜評を読んでも、ああ、ロックが人に近いずころにあった時代だなずわかる。

最近は䜕幎に録音しただの、ギタヌは誰だの、レヌベルは・・・ずいった知識を䌝達するような原皿が倚くなった。

だが圓時は、鏡のようにロックに自分を映し、自分の蚀葉で曞いおいる。時に脱線するこずもあるが、それは単なる感想文ではない。個人の日垞ずロックが䞊走しおいたように思う。

閉塞感の匷いこの時代に必芁ずされおいるこずは䜕だろうか。私は確かなものを埗たような気がする。ロックずは、音楜ずは決しお単なる嚯楜ではない。

䞀番倧切だったのはレコヌドずいうモノではなく、ロックを媒介にした人間の関わりであり、共有しおきた時間なのだ。それはおそらく今も倉わらないだろう。

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