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18歳のギタリストは 時代を縦横無尽に駆け巡る 大崎弦太ミニ・インタビュー


大崎弦太

音楽に限らず、若手が育たないと嘆く人は多い。だが先輩たちとアプローチは違えど、容易に古今東西の音楽をタイムトラベルしながら、彼らは彼らなりのスピード感で時代と並走しているのだろう。

ギタリストの大崎弦太(おおさき・げんた)もそんな時代の申し子だ。18歳。子どものころからロックやジャズ、ブルースに触れ、最近はジプシー・ジャズの「「the弦太トリオ」で活躍している。

僕が影響を受けたアーティストたち

――4月に18歳になられたばかりですね。

大崎弦太 1997年4月15日、岩手生まれでベッシー・スミスと同じ日です。5歳くらいから親戚にもらったギターをいじったりしていたんですが、自分のエレキ・ギターを親に買ってもらったのが12歳頃。本格的に練習したり、曲を書いたりし始めたのはその頃からだと思います。

――影響を受けたアーティストを教えてください。

大崎 オーティス・ラッシュ、Tボーン・ウォーカー。ジャズだとバーニー・ケッセル、バッキ-・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)、アンジェロ・ドゥバール(Angelo Debarre)、そしてジャンゴ・ラインハルトですね。中でもケッセルの『イージー・ライク』は堅苦しいと感じがちなジャズのイメージを変え、歌心と遊び心を教えてくれたアルバム。何度聞いても飽きません。

――最初に弦太さんの名前を知ったのは、ブルースのライブでした。以前はオーティス・ラッシュのナンバーなどを演奏されていましたよね。

大崎 はじめはクリームやドクターフィールグッド、CCRなどクラシック・ロックと言われる音楽をやっていました。そのうちクラプトンがロックのルーツはブルースだ!」と言うのを耳にして、ちょっと聞いてみようかなと思ったのがきっかけです。最初に買ったブルースのCDはクラプトンが敬愛しているロバート・ジョンソン。

――すぐ気に入りましたか。

大崎 よくわかりませんでしたよ。ガサゴソしているし、なんだかつまらないなぁと (笑)。他にないかなと探して出会ったのが、オーティス・ラッシュやアルバート・キングで、これはすぐに気に入ってコピーしました。しばらくすると、戦前ブルースも自然に聴くようになっていきました。

――私も最初にロバート・ジョンスンを聴いたときはぴんと来なくて、後々引っ張り出して良さがわかった口でした。国内の先輩ミュージシャンではいかがですか。

大崎 ブルースへの扉を開いてくれたのは、ギタリストの小安田憲司さん。東京の福生(ふっさ)で毎年開かれるブルース・フェスティバルを観に行ったとき、小安田さんのステージに「これは、スゴイ!」と。小安田さんと知り合ってからロック寄りのブルースではなく、黒人のブルースを好きになっていきました。

もう一人は、吾妻光良さんですね。ブルースの中でも一番好きなジャンプやジャイブに目を向けるきっかけになった人です。ギターを聴いて、スクイーズみたいなものもあるけど、ちょっとジャズっぽいフレーズとか、お洒落な音使いをしていて、これは気持ちいいなと感じました。ジャズ、スイング、ジプシー・ジャズをやり出したのも吾妻さんの影響が大きいんです。

ルーツ・ミュージックをどうアウトプットしていくかを考えています

――弦太さんが考えるルーツ・ミュージックの定義とは?

大崎 僕にとっては単に古くて好きな音楽で、たまたま出会って、かっこいいと思ったからやっています。ロックの源流になったブルースやジャズは確かにすばらしい音楽ですが、それを聴かなければ良い音楽はできない、とかそういうことはないと思います。

それよりも、自分が好きになった、ルーツとなる音楽を自分なりにどうアウトプットしていくか、ということを考えるのがイイのかな、なんて。生意気ですね(笑)。とりあえずなんでも聴いてみる、というのはだいぶ大事だとは思います。

――現在の活動はジプシー・ジャズの「the 弦太トリオ」が中心ですか。

大崎 そうです。メンバーは北川吟、小久保徳道。ブラジル音楽、ジャズ、ポップスなど広いジャンルで活動している3人が、ジプシー・ジャズでつながったグループです。5年ほど前だったか、公園でギターを弾いてた吟さんと僕でセッションを重ねるようになったのが始まりです。とにかく堅苦しいことなく、みんなで笑って楽しめるバンドであることをモットーとしています。いま、新しいアイディアを取り入れたレコーディングも進めていますよ。

最近ブルースのライブはあまり多くありませんが、ハーモニカのKOTEZさんと、若手3人(ハーモニカの佐藤龍英、ベースの櫻井泰)で「ブルース・ヤングライオン」というユニットをやっています。他にはスイング系のセッションライブ、同い年のメンバーで不定期に古い音楽を演奏したりしています。

――ジプシー・スイングと言ってもいろいろなアプローチがあると思いますが、ご自身はどんなトライをしたいと考えていますか。

大崎 ジプシー・ジャズに限らず、モダン・ジャズにしても素晴らしい演奏やテクニックをもったミュージシャンはたくさんいますが、下を向いてひたすら真面目に演奏されている人が多い印象を受けるんです。確かにテクニックの面では、上手いなぁ、速いなぁで十分楽しめるんですが、一般のお客さんはどうかなと思うんです。ジプシー・ジャズって何?ジャンゴって誰?という人でも、ふらっと生演奏を聴いて、なんかよくわかんないけど楽しい!と感じて笑顔で帰ってくれるのが理想です。

みんなでギター弾いて、ゲラゲラ笑って、それが僕の中でのジプシー・ジャズの理想であるし、結局パーティでみんなで歌って踊って盛り上がっていた今はロマと呼ばれるジプシーのルーツにも通じると思っています。the弦太トリオのライブの理想はそこです。

みんなが楽しめて、笑いのあるステージを

――7月は白洲次郎さんの旧邸宅・武相荘での骨董市や、蓄音機ナイトなどユニークなライブに出演されますね。

大崎 the弦太トリオが今年春に、町田市の手工業フェス「小野路やまいち」で演奏した際に気に入っていただいたお客さんが骨董市を主催している方で、演奏してみないかとお誘いを頂いたのがきっかけです。歴史ある邸宅で、味のある骨董品にお洒落でちょっとノスタルジックなジプシージャズで香りを添えます。

蓄音機ナイトは、数ヶ月前から交流があるスイング・ギタリストのチャールズ豊田さんにお誘いいただきました。SP盤から流れる古い音楽に加え、その当時の音楽が生で味わえるイベントです。1930年代にタイムスリップできるかもしれません(笑)

――今後、どんな活動をしていきたいですか。

大崎 先ほども言いましたが、とにかくみんなが楽しめる活動をしたい。笑いがあって、また来たい、と思えるライブをやりたいです。そういったものを感じるという意味で、吾妻光良さんは目標です。ステージは常に笑いで溢れていますが、音楽としての完成度はものすごいと思います。吾妻さんとステージをともにするのは簡単ではないと思いますが、学ぶところの多いエンターテイナーとしていつか隣で大笑いしながらギターを弾けたらなと思っています。

(構成 妹尾みえ)

大崎弦太 公式サイト

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2015年7-8月 ライブスケジュール

◆7/16(木) 「the弦太トリオ」

会場 青山スパイラル 1F テラスカフェ 時間 17:00ごろ~  ※雨天の場合は地下のレストランバーCAYにて

◆7/19(日) 「the弦太トリオ」

会場 旧白洲邸 武相荘(東京都町田市能ヶ谷7-3-2)

問 042-735-5732 http://buaiso.com/

※骨董市は10時から

◆7/27(月) 「the弦太トリオ」

会場 池尻大橋  CHAD

時間 20:00~

料金 ¥2,000+drink

◆7/29(水)「スイングジャズと蓄音機ナイト」

出演 カホル(vo) 弦太(gt,vo) チャールズ豊田(gt,vo)

会場 Bar緑( 東京都渋谷区神宮前2-3-28 )

時間 20:00~

料金 投げ銭

問 03-3478-5332

http://goo.gl/maps/1FKov( google mapが開きます)

※蓄音機から流れるSPレコードの音を懐かしく、新鮮に味わいつつ、当時ハヤりの音楽を生で楽しめるイベント。1930年代にタイムスリップ!

   ◆8/9(日) the弦太トリオ@渋谷ズンチャカ

   会場 渋谷ヒカリエ2Fステージ 

   イベント自体は11:30~19:00。出演時間未定

   ◆8/14(金)「the弦太トリオ」    会場 東京・三田田町「カレーハウス林」    時間 19:30~ 料金 投げ銭

   ◆8/16(日) 「the弦太トリオ」

   会場 東京・豊田 Banbor(バンボラ)    時間 19:30~

   料金 投げ銭    http://blog.goo.ne.jp/banbora

   ◆8/22(土) 「the弦太トリオ」    会場 埼玉県・小手指 たらまガレージ    時間 17:30~

   料金 投げ銭

   ◆8/30(日)

   出演 弦太gt, 坂野いぶきgt,       山村勇樹ba    会場 神奈川県横浜市青葉区藤が丘      「健康中華 青蓮」藤が丘店    時間 14:00/15:00/18:00/19:00

   料金 投げ銭    問 045-971-4266

   ※中華とジプシージャズ 

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